約 211,551 件
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/214.html
東北大学SF推理小説研究会SF・ライトノベル部会 読書会レジュメ 2006.11.10(金)作成者:探検隊 『脱走と追跡のサンバ』 筒井康隆 0.テキスト 『S-Fマガジン』にて1970年10月号から1971年10月号まで連載。 途中にあるページ数は角川文庫版第二十一版をもとにした。 1.作者について 1.1略歴 1934年9月24日大阪府大阪市生まれ。中学時代はIQ178の天才児。高校・大学時代より役者を志していた。1960年SF同人誌『NULL』を発刊。短編の「お助け」が江戸川乱歩に評価され、『宝石』誌に掲載されデビュー。『残像に口紅を』『虚人たち』『虚航船団』『文学部唯野教授』など著作は多数。翻訳もいくつか存在する。 1.2多芸 小説以外にもいろいろなことをやっている。 1.2.1エッセイスト 笑犬楼 1.2.2アンソロジスト、三島由紀夫賞の選考委員など。 1.2.3マンガ家 『筒井康隆漫画全集』 1.2.4役者 ホリプロに所属。もともとは作家よりもこちらの道を志していた。自作の映像化によく出演している。個人的には『文学賞殺人事件 大いなる助走』でのSF作家をバカにすんな発言(大意)が印象に残っている。 1.2.5その他:全日本冷し中華愛好会など。 1.3断筆宣言 1993年、角川書店の『国語Ⅰ』の教科書に「無人警察」という筒井の短編が収録されることになった。それに対して日本てんかん協会より「てんかんへの差別を助長する表現がある」として教科書からの削除または販売中止を求める声明文が出された。 それに対する筒井は、作家とは「本来反制度の立場に立って発言する」ものであるとの立場を崩さずに意見を述べつづけたが、結局「差別表現への糾弾」に抗議する意味で「筆を折る」ことになった。この宣言を聞いた実際のてんかん患者(およびいわゆる障害者)から多くの支持意見を受け取った。その後、1996年になり、各社と覚書を交わす形で断筆は解除され、現在に至る。 この事件に関する参考文献は文末で示す。「表現の自由」と「人権」のコンフリクトの一例として興味があれば読んでみて欲しい。 1.4後進への影響 『果しなき流れの果に』でも触れられていたが、初期の日本SFを支えた一人である。作家やマンガ家にファンも多い。 特に、今年映画化された『時をかける少女』の細田守、『パプリカ』の今敏は原作を昔から読んでいたそうである。『日本以外全部沈没』の河崎実については不明。 その他、『不条理日記』吾妻ひでお、『レベルE』『幽遊白書』富樫義博、『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦などで「引用」されているのを目撃した。 2.あらすじ [カスタネットによるプロローグ] 「情報による呪縛、時間による束縛、空間による圧迫」のない「あの世界」を望むおれは「この世界」からの脱走を開始する。 「テスト」←『悪魔の辞典』A・ビアス ↓ 『筒井版悪魔の辞典』 [第1章 情報] おれは出版物、テレビ、コンピューターをけちらし「情報による呪縛」から脱走しようとする。みどり色の尾行者が登場。 ?ロイスの無限、合わせ鏡:不明 コンピューター描写→『筒井康隆漫画全集』、「上下左右」(『S-Fマガジン』1977年7月号) [マリンバによるインテルメッツオ] みどり色の追跡者がなぜXX氏(=おれ)の追跡を始めることになったのかを報告書形式で語る。 ヴェルトハイマーの輪 TheWertheimer-KoffkaRing コード記号→『ジャズ小説』 [第2章 時間] おれは時間が「無茶苦茶だ」と感じる。大部分天文台では天文的時間の、捕縛大学の応用物理学教室では、セシウムによる原子時計の「いい加減さ」を知る。そして井戸時計店で身代金を要求したのが誰だったのかを知る。 「クロノス/カイロス時間」(=物理的/心理的時間) 「未来のおれ」→『夢の木坂分岐点』、「平行世界」(『筒井康隆自選ドタバタ傑作集1』など) [ティンパニによるインテルメッツオ] 尾行者の口から「この世界」にいた正子以外、全てのキャラクターがおれの平行宇宙における存在であったことが語られる。 恐怖感→『鍵』 [第3章 空間・内宇宙] おれは空間に脱出口を求めて世界を内的宇宙へと変化させる。そして、正子と尾行者を殺害する。 太母(正子)と老賢者(尾行者)はユングの提唱する元型。 精神分析→『家族八景』、『パプリカ』 [ボサ・ノバによるエピローグ] おれは二人を本当に殺害したのか確認しようとする。締めは無限に続く長科白。 {ドビンチョーレについて} 解説によるとニューウェーブのことなのだとか。 連載時のあおり「前衛SFニュー・ウェーブ的波乱万丈的パーマネント・ウエーブ大びびんちょ長編」 「ドビンチョーレ」を何か他の新しいものに置き換えても意味が通ってしまう。最近だと「ライトノベル」とか。 『自由からの逃走』E.フロム 批評のパロディ→『大いなる助走』、『文学部唯野教授』 3.論点 3.1「初期筒井康隆論」 『ドグラ・マグラ』的な意味での到達点ではないが、大きな結節点である。章ごとに関係しそうな作品を挙げてみた。追加として、更なるドタバタ(『農協月へ行く』)、更なる実験(『残像に口紅を』)、更なるメタフィクション(『虚航船団』)。詳しくは書かないが「末世法華経」「堕地獄仏法」。忘れちゃいけないメタミステリーも(『富豪刑事』、『ロートレック荘事件』)。 初期~断筆あたりまでの長編は一読の価値あり。マジックリアリズムに傾倒するようになってSF的な意味での面白さは減った。短編については、わりとネタが被っていたりもする。 3.2これもSF lowfantasyとどう違うか? 筒井的パロディによる現代社会論。 ニューウェーブ=外宇宙より内宇宙 3.3三つの無効化の順序が持つ意味 情報→時間(科学的な情報)→空間(次元としての時間の拡張) 3.4脱走すること。「いまここ」ではないどこかへ。 「おれにぴったりした空間とは、おれの内的世界にぴったりの空間である」p222 「情報にがんじがらめになっている社会をうさん臭く思っているのが、自分だけだとでも思っていたのかね。(中略)だがあいにくそんなことは、ここにいる連中がとっくの昔に卒業した感覚だ」p83 「うつし世は夢です。しかし夜の夢さえまことではないのです」p309 「本物とパロディの見わけをつけるのはこのおれだ」p310 状況を認識して再帰的にふるまうこと。そして振り出しに戻る中学二年生。 4.補足 4.1『S-Fマガジン』連載版にあった注 [カスタネットによるプロローグ]1970年10月号 p30 「多変型現象」のくだりは、J・B・S・ホールディン『人類の進化、その過去と未来』より、また「テスト」のくだりは、ジャン・シャルル『怠け坊主は天才なり』より、多大の示唆を得ました。 [第2章 時間]1971年4月号 p171 電子指輪のくだりは筒井康隆編『星新一言行録』によるものです。(筆者注:このような書籍は存在しない) 4.2 「覆面座談会 日本のSF」(『S-Fマガジン』1969年) 連載中の作家を編集長が雑誌内でディスるというなかなか斬新な企画。 5.参考文献、サイト 『SF JAPANvol.1』徳間書店 『S-Fマガジン』早川書房 筒井康隆-公式サイト 筒井康隆-Wikipedia 筒井康隆総合スレッド part7:翻訳について 英訳は SalmonellaMenonPlanetPorno(「ポルノ惑星のサルモネラ人間」) WhattheMaidSaw EightPsychicTales(「家族八景」・・・ってなぜ「家政婦は見た」になってるんだ) JustaNobody(fromtheRumorsaboutMe). Anarticlefrom TheReviewofContemporaryFiction[HTML](Digital) (「俺に関する噂」ただしHTML版) あと、TelepathicWanderers(「七瀬ふたたび」のコミック版)が上位に来てる。 仏訳は LeCenseurDesReves(たぶん「着想の技術」) LaTraverseedutemps(たぶん「タイムトラベラー(時をかける少女)」 CoursParticuliersDuProfesseurTadano(たぶん「文学部唯野教授」) カール・グスタフ・ユング-Wikipedia 元型-Wikipedia 5.1断筆宣言に関して 「無人警察」(『にぎやかな未来』角川文庫) 「精神病院ルポ」(『S-Fマガジン』1965年5月号、『筒井康隆全集1』) てんかんの取材で作者が大阪大学付属病院の精神・神経科を訪れたルポタージュ 『断筆宣言への軌跡』光文社 断筆解除をめぐる資料 日本てんかん協会と表現の自由 その他に 『筒井康隆の逆襲』 平岡正明 『筒井康隆「断筆」の深層 闘筆宣言』 横尾和博 『筒井康隆 断筆をめぐるケンカ論集』 平岡正明 『筒井康隆断筆祭全記録 山下洋輔』 『筒井康隆「断筆」めぐる大論争』 月刊『創』編集部 『何だかおかしい筒井康隆「無人警察」角川教科書てんかん差別問題』 佐藤めいこ 6.まとめ もっと筒井康隆を読みましょう! 部会メモ ※樹形図は作成せず 当時はやせていた。 怒りを創作への意欲に使う。 ●部員の論点 文体が『ドグラ・マグラ』に似ている。 古いから 昔は漢文とか、七五調の文章・美文調はよくあった。 出てくるのが全部打楽器 情報の氾濫、テレビなどのメディア 未来を描こうとしている訳でもないが、状況を極端にしていくことで、結局見方が現代っぽくなっている。 『トゥルーマンショー』 ファンタジーっぽい low fantasyとは違う。 筒井はだんだん純文学・マジックリアリズムに傾倒。 当時、精神分析が科学という認識。 ニューウェーブSFはこんな感じ。 自虐小説っぽい 筒井自身の人生のよう 自分ネタ 映像化しているのではないか 筒井作品の影響は、その後に非常に大きいのでパロディーかもしれない(さだかなことはわからない)。 ↑例えば、神林長平はニューウェーブを介して筒井に影響を受けているのでは? 哲学的手法が似ている。 脱走(レジュメ3.4) 無限後退→中ニ病 「脱走」と「脱出」の違い 「脱出」は、閉じ込められていて正しいところへ行くこと。 筒井作品を読め!(初期の) 2019.02.24 Yahoo!ジオシティーズより移行 http //www.geocities.jp/tohoku_sf/dokushokai/dassou.html なお、内容は執筆当時を反映し古い情報・元執筆者の偏見に基づいていることがあります by ちゃあしう
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/122.html
東北大学SF小説研究会読書会 シオドア・スタージョン「輝く断片」 1 作者紹介 シオドア・スタージョン(1918/2/26~1985/5/8) 2 1.スタージョンの法則 3 ストーリ-取り替え子取り替え子 ミドリザルとの情事ミドリザル 旅する巌文芸エージェント 君微笑めば ニュースの時間ですオフィクレイド 誰が為に鐘はなる マエストロを殺せ ルウェリンの犯罪黒い箱 婚姻届 有価証券 小切手 死亡診断書 輝く断片サルファ・チア・ジアなんとかウム 6 感想 1 作者紹介 シオドア・スタージョン(1918/2/26~1985/5/8) アメリカ合衆国のSF作家。元々は空中ブランコのりに憧れていたが紆余曲折あって1938年SFでも幻想小説でもないなにかを雑誌に売ってデビュー。のちにアスタウンディング誌にて初のSF作品Ether Breatherを掲載。当時はE・ウォルドー・ハンターと名乗っていた。1950年代にはSFアンソロジーというと大体スタージョンが参加しており、この時代が絶頂期だという意見が多い。また、エリスンやディレイニーに影響を与えているとされ、ブラッドベリは影響の受けた作家に彼の名前を上げている。意外なことにスタートレックやトワイライト・ゾーンの脚本を書いていたりする。エラリー・クイーンのゴーストライターをしたこともあったり。 2 1.スタージョンの法則 スタージョンと言えば、スタージョンの法則が有名なので独立した項目として解説。 正式にはスタージョンの黙示と云われる。実は2つあり、そのうちのひとつが、 「常に絶対的にそうであるものは、存在しない」("Nothing is always absolutely so.") であるが、あまりにも、もう片方が有名のためほとんどは、 「どんなものも、その90%はカス(crud)である」 の事を指す。そもそも1972年のデイヴィッド・G・ハートウェル(David G. Hartwell)との対談で初めて言及され、ある雑誌にその様子が掲載された。引用すると、 私はスタージョンの黙示を繰り返す。これは、私が20年というもの、SFを人々の攻撃からひぃひぃ言って守ってきた経験から絞り出されたものである。奴ら(訳注:SFを攻撃する人々)はこの分野における最低の作例を引っ張り出しては叩き、SFの90%はカスだと結論付けた。 その後ほかの機会に、このようにも発言している。 「最低の作例を引っ張り出しては叩く」という悪意の攻撃に対して、自分から直接反撃しているのだ。90%のSF作品をゴミカス扱いするのと同じ基準を用いれば、映画、文学、消費材などその他あらゆるものの90%も同様にゴミである。言葉を変えれば、「SFの90%がカスだ」という主張ないし事実のもつ情報量はゼロである。なぜならば、SFは他の芸術/技術の産物と同様の質的傾向を示しているに過ぎないからである。 これを見ればわかるように、ただSFの90%をあえてカスと言っているわけではなく、世間や文壇でのSF批判を受け「どんなものも、その90%はカス(crud)である」と結論付けたのである。だが現代では割と拡大解釈がされがち。 また、現代文芸に関するパネルディスカッションに参加した際、某大学英文学の教授が、面と向かって「SFの90%はガラクタだ」との発言に対し「どんなものでも9割はガラクタ(crap)だ。」と言い返したことを初出だという意見も存在する。 3 ストーリ- 取り替え子 子供のいない若い夫婦に亡くなった伯母から莫大な遺産が転がり込んできた。しかし、相続するためには条件があったのだった。それは「赤ん坊の面倒を見られる」というもので、二人は伯母の妹ジョンクィルに実際に赤ん坊の面倒を見られると証明しなくてはいけなかった。だが夫婦がすぐに赤ん坊を用意できるわけでなく途方に暮れていたその時。川から一人?の赤ん坊がどんぶらこっこどんぶらこと流れてきたではありませんか。 取り替え子 英語だとチェンジリング、映画のあれと同じです。 本来はヨーロッパ圏の伝承のひとつで妖精のブラウニー(日本でいう座敷わらし)が赤ん坊を妖精の国にさらって、その代わりにそっくりな赤ん坊を置いていくというものである。そして、連れ去られた赤ん坊は妖精の国で永遠の命を得るが代わり身のほうは病弱ですぐに死んでしまう。みわける方法はオーブンに突っ込む、木ノ実のから(卵のから)でビールを醸す、シャベルに乗せて火で炙る、ジギタリスを煎じた風呂に入れるなどがある。これによっていく人かの本物であろう赤ん坊が実際に亡くなった。 伝承なだけバージョンが多数あり、代わり身がただの木の切れっ端だったり、むちゃくちゃ頭がよかったり、トロールの娘で普通に成人したりする。 ミドリザルとの情事 社会復帰の専門家のフリッツとその妻アルマが散歩をしていると、半殺しに されている人物を発見。ただちに確保し病院に連れていこうとアルマが言うのだが専門家として断じてならぬとフリッツが言い張り二人の自宅で養良をすることになる。フリッツが主出張している間にすっかり回復し、その勢いでアルマといい雰囲気になるのだが。 ミドリザル サバンナモンキーの別名。アフリカ南にはウジャウジャいるので実験動物として利用されている。ミドリザルといっても、消して緑ではなく普通のサル。強いて言えば、学名で日焼けしたサルというだけ顔が黒い。 緑色のサルはいないのかと思ったら、ちゃんといました。中国で緑色蛍光タンパク質をもったサルが遺伝子組み換え技術で誕生、ちょうど今月頭くらいです。まさにミドリザル、野生に出たらいじめられることでしょう。ちなみに発光した姿がデスラー閣下にそつくりだとのもっぱらの噂。 旅する巌 文芸エージェントのクリスは、巷で話題の傑作「旅する巌」の作者ワイスに会うため、はるばるワイスの自宅までやってきた。あれだけ高尚な作品を書くのだから相当善良な人物であるだろうと思っていたのだが、彼の自宅に着くやいな、狙撃されかける。銃を構えていたのはワイス本人。そこにはただ醜悪な男が一人孤独な暮らしをしていただけだった。 文芸エージェント 日本ではないであろう職業の一つ。出版社と作家の仲介をする職業である。簡単に言うと作者つきのマネージャーで、まず作家志望の人は文芸エージェントと契約をむすび、作品を書く。そしてエージェントが構成をし、出版できるレベルであれば出版社に売り込みにいくという仕事ないようである。 君微笑めば たまたま歩いていると、懐かしい奴にあった。昔いじめていたヘンリーだ。こいつはバカで考えることもできず、これといって運動もできるわけじゃない。正に穀潰し。まあ、そんなやつだからこそ、何をあいつに話しても問題ない。誰にも言わないし考えてもろくな答えもでてきやしない、一方的にしゃべりっぱなしで構わないんだ。久しぶりにあったんだ、今夜は取っておきの話を話してやろうじゃないか。 ニュースの時間です 本日もニュースの時間がやってまいりました。今日のトピックスは、本日逮捕された殺人犯マクライルの過去に迫るです。彼は、4人を殺害し逃亡した殺人犯として本日づけで逮捕されました。関係者の情報によると、この彼は妻子持ちの会社務めで趣味はニュースを聞くことと、そして毎日届く新聞。家族はもちろん他人にも好かれるような非常に善良な性格だったそうです。そんな人がなぜ4人もの人を殺すことが出来たのでしょうか、その彼になにが起こったのか。我々は彼がかかっていたという精神科医にコンタクトすることに成功しました。それでは、VTRをどうぞ。 「おかしくなった彼を直してほしいということで私のところに依頼が来ました。話を聞くところによると、ある日を堺に消息がつかめなくなったということでした。どうやら、消息を絶つ以前から少しおかしなことをしていたようです。たしかニュースに異常なほど関心を示していただったかな。まあ、そんな話を聞いているとこれは一代の大仕事だという気がしてきまして彼を捜索することにしたのです。あらゆる手段を駆使し、ついに見つけた彼のもとに私は向かったのですよ。そうしたら、そこは断崖絶壁縁に立った小屋でした。彼はそこで音楽を楽しみ、陶芸をし、ある種理性と言えるような生活をしていましたよ。ただ彼は会話ができなかった。言葉を発することが出来なかったのです。なので、私は暗示を施し彼を以前の状態に、話せるし善良だったころの彼に戻してあげました。そう彼はちゃんと正気になったはずです。ああ、結局なぜ彼がそんな生活をしていかはわかりませんでしたよ。こんなことになる前にどうにかしてやりたかったものです。そして、あんなことをする前にもね。」 以上がVTRでした。コメンテーターの高梨さん?はい、精神科医なんてまゆつば物だと。ふむ。ありがとうございました。それではCMのあとも引き続き真相を解明していこうと思います。 オフィクレイド 金管楽器で1800年頃から作られた。この楽器が改良され続けた結果がチューバである。現在入手しようとすると需要がないのでむちゃくちゃ高価。新品を作っているところも一箇所だけある。ビンテージものだと60万円近いが楽器なら高価な楽器レベルではある。 誰が為に鐘はなる ヘミングウェイの小説ではなくイングランドの詩人であり後にカトリックの司祭となったジョン・ダンの詩をもした説教。ヘミングウェイも彼の詩からタイトルを頂戴した。 マエストロを殺せ バンドラッチ・クロフォードのMC謙ミキサーのフルーク。彼はリーダーであるラッチを憎んでいた。何もかもたやすく手に入れてしまうラッチ。そしてそれを誇ることもない。他人にチャンスを譲り自分は常に一歩引いていた。何もかもが完璧。そんなラッチをフルールは恨んだ。醜悪な姿が故、徴兵をまぬがれたフルークには憎くて仕方なかったのだ。そしてある日ラッチを殺してた。殴って錨をつけて水底へと放り込む。誰にもバレることはなくそつなくやって退けたのだった。ラッチからの開放を喜ぶフルークだったが、ラッチはいまだ彼を縛り付けていた。バンドはラッチそのものだったし、死んだあとでも誰もがラッチ、ラッチとつぶやいていた。 ルウェリンの犯罪 ルウェリンは現在一人の女性と同棲している。ただそれは恋人でもないし、ただ一度過ちを犯しただけの関係はあるけど、一緒にいたほうが便利だからいるだけ。日常生活もなにもなくただ毎日同じことの繰り返し。あいつは経験なんてないんだぜと会社の後輩からばかにされるしまつ。それでも良いと思っていた、それは一回の罪があったから。しかし、なんということか彼には罪なんてなかったことが判明した。これを機に一念発起。黒い箱とその部下の4枚の紙に惑わされながら、なんだかわからないけど罪というものををつくろうとするのであった。頑張れルウェリン、君なら出来るさ。 黒い箱 すべての元凶にしてルウェリンを苦しめた4枚の紙が封じ込められてる。 婚姻届 知らないうちに結婚してることがあります。また、結婚していたと思っていたら実はしてなかったということもままあります。とりあえず重婚は悪いことだからやめましょう。 有価証券 非常に価値のあるものです。しかし、人のものを持って行くと怖い人がやってきます。 小切手 小さい額をいちいち切ってると店長にきれられます。当座口座にお金を移さないとやっぱりきれられます。 死亡診断書 これがあると法的な証拠になります。水には溶けないのでトイレには流さないようにしましょう。 輝く断片 醜い姿に要領の悪さ、用なし用なしの罵られた齢53の男が一人。ある日、外で血を流しながら倒れている女性を発見する。部屋に運び介抱しようとするが明らかにヤバい傷。いまさら救急車なんて呼べないので、独断と偏見と要領が悪いながらも器用な手先で手術を決行する。その後も辛抱強く介抱しつづけた結果、なんと女性が起き上がるまで回復した。そのあとから始まる新生活に胸がドキドキ! サルファ・チア・ジアなんとかウム 多分サルファ薬のなにか。サルファ薬は合成抗菌剤・化学療法薬の総称。ハンセン病に用いられるものもある。サルファ軟膏が手術で詰め物に使われるという記事があったので、割と間違ってなかったのかもしれない。 6 感想 まとまったテーマがある短篇集です。大森が言うように後半のにつれそのテーマが浮き彫りになっています。真面目がゆえに異常であるという点で一貫した主人公。特にルウェリンの犯罪に関しては、やっていることはまるっきりコメディなのに切り口は斬新、ばかばかしくもメーッセージが込められたものになっています。 作風はSFというより幻想小説とSFを足して二で割った感じですが、過去においてのSFの地位向上、影響を与えた作家などを見てみるとたしかにSFといえるではないかと思います。
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/257.html
東北大SF研 長篇部会 「荒潮」 作者:陳楸帆(チェン・チュウファン) 英訳者:ケン・リュウ 和訳者:中原尚哉 著者紹介 陳楸帆、1981年生まれ、80年代に生まれた新世代中国SF作家の代表者として認識されている。なお、今頃「三体」で大ヒットになった劉慈欣が1963年生まれということを注意されたい。1997年デビューから今までは長編「荒潮」と数十編ほどの短編が発表されており、中国星雲賞(ネビュラ賞や日本の星雲賞とは全く違うものであり、あくまで中国語の作品だけ取り扱う賞であるのを注意されたい。)をはじめとする多くの賞を受賞されたことがあり、「科幻世界」の高校生創作のコラムに掲載されたデビュー作は当年度の一等賞をとった。その時、陳楸帆はわずか16歳だった。 今のところ、和訳された作品は「荒潮」と「折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー」に短編三篇、「月の光 現代中国SFアンソロジー」に短編二編が収録されており、これらは全部ケンリュウを介して重訳された作品なのである。今年六月に出された「時のきざはし 現代中華SF傑作選」には中国語から直接に訳された短編一つが収録されている。作品総数と比べたら少ないというものの、中国SF作家として結構訳されている方である。また、ケンリュウをはじめとする訳者たちを介して、陳楸帆の作品はいろんな言語に訳されている。2020年のインタビューを読んでみたら、どうやら陳楸帆は2008年の時ケンリュウの作品を訳して「科幻世界」に載せたことを通じてケンリュウと知り合いになったらしい。 自分は陳楸帆の作品をそこまで読めていないので、作者を総括するのが難しいが、インタビューと書評を参考として、陳楸帆のイメージを述べたいと思う。 まず、中国以外の読者はあまり感じれないかもしれないが、実は陳楸帆は割と革新的な作家といってもいいだろう。2019年に出されたアンソロジーには自分が作ったAIを小説の創作に用いてみたらしい。文学の面においても、故郷を描くのに、主流な中国作家と割と異なる態度を取っていると思う。これについて後ほど詳しく述べる。 また、陈楸帆はリアリズム的な作家といってもいいだろう。彼自身もインタビューではSF文学のリアリズム的な側面を強調している。後書きにも書かれたように、「荒潮」は実は陈楸帆の故郷をモデルとして書かれた作品である。更に詳しく言うと、陈楸帆の生まれ故郷からそう遠くないところには本当に「貴嶼」という町があり、島ではないが、「硅嶼(シリコンしま)」とほぼ同じような風景をしているらしい。もし「荒潮」が2030年代に出版されたら、恐らくSFらしさを帯びたリアリズム小説として認識されてもおかしくない。 最後は、陳楸帆はSF創作の他、情報や映画の脚本などの領域にも活躍しており、アマチュア作家といってもいいだろう。彼の作品はよく読者界隈に「まだまだ手を加える余地があるのではないか」といわれる。 作品紹介 「荒潮」は2012年雑誌に連載し始め、2013年に初めて単行本として出版された。2019年には英訳され、そして英訳を介して和訳された。和訳版の後書きには英訳は2013年版の中国語原文と違い、所々がアレンジされ、和訳は英訳に従い、そしてアレンジされた中国語版は出されていないと書かれているが、実はアレンジされた後の中国語版「荒潮」も2019年に出版された。その内容は日本語版や英語版と何が違うか自分はまだ確認していない。2019年版の「荒潮」の宣伝を見る限り、どうやら作者は「荒潮」を三部作の第一部にアレンジしようとしているらしい。 解説 「荒潮」に関していろんな角度から解読することができる。ここで敢えて中国的な視点から語りましょう。 中国文学において、故郷をテーマとした所謂「郷土文学」というジャンルは極めて重要な地位を持っている。『中国現代文学簡明詞典』(山東教育出版社1987.4)には郷土文学を以下のように定義していた。 「現代文学における「郷土文学」作品の特徴は、作者がその郷土を熱愛していること、作品が一般に暗い日常と様々な怪現象を暴露し、労働人民に同情的で、反動的な統治階級や搾取者を攻撃したり嘲ったりし、あわせて各地の習俗・風光を描き出して、読者に一種どろくさい息吹を感じさせること、人物や言語は濃厚な地方的色彩を帯び、描写は往々にして白描(スケッチ)の手法を用い、素朴で簡潔な風格を具えていることである。」 多少社会主義臭いところがあるものの、この定義は郷土文学に基本的にあっていると思う。そして前述したように、陳楸帆の故郷である潮州は「荒潮」の舞台のモデルであった。物語には潮州地域特有の排外主義、地域差別、宗族主義などの問題を容赦なく批判したが、潮州の習俗や風景対する描写も多いし、やはり故郷に対する愛と期待も顕著にみられるだろう。 また、中国人にとって90%の人の故郷が農村であり、故郷を描く文学も言うまでもなく、ほとんどは農村を描く文学である。現代になって、パストラル的な村が消えてゆき、産業時代に入った故郷をどうやって描くのかは中国文学にとって新たな課題になった ということで、僕は「荒潮」を工業時代における郷土文学として捉えると提案したい。それこそ「荒潮」の根本的な中国性である。ただし、陳楸帆は魯迅から発祥した郷土文学を受け継がれただけではなく、工業時代に合わせて発展させたのである。 普通の郷土文学が時間的、空間的、また叙事的には主人公及びその周りの人々に限定されているのに対して、「荒潮」では舞台がほとんどシリコン島に限定されたが、ごみ生産と回収の分業体制を通じて、物語の背景と発展は全世界とも密につながっている。結末にも米米の運命を人類の運命と繋がろうとしている試みが顕著に表れてきた。 スケールの単純拡大の他、陳楸帆は故郷の変化を嘆いたり、過去のパストラル的な風景を思い耽たり、農村の生活を理想化させたりするような70年代から主流となった保守的なパターンから脱却し、小説の結末に示されたように少し発展的に物語を語ろうとしていた。70年代の郷土文学作家は希望を過去の、ローカルな農村に託したのに対して、陳楸帆は希望を未来の、グローバルな都市に託したといってもいいだろう。 しかし、ここで強調しておきたいのが上述の発展や試みをしていたのが決して陳楸帆の独創的なものではない。また、スケールの拡大も単なるグローバル的となった現代に合わせたに過ぎない、最後の結末も多少手加減してハッピーエンディングにしようとしたように見える。初めての長編、しかもアマチュア作家だから多少致し方がないかもしれないが、次の長編の突破を期待する。 また、魯迅を始めとする作家は東欧、北欧文学から受け継がれたリアリズムが、やはり陳楸帆にも受け継がれたのである。先述したように、陳楸帆の生まれ故郷付近では本当に海外から輸入してきた電子ごみが山ほどあった。小説に書かれた汚染された自然と重苦しい社会風景もそこにあった現実そのものであり、ゴミ人の運命もまた、出稼ぎ労働者たちの現実であった。このようなリアリズム的な特徴は「鼠年」や「麗江の魚」などの代表作にもみられる。 関連書目 「折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー」 「月の光 現代中国SFアンソロジー」 「時のきざはし 現代中華SF傑作選」 参考資料 陳楸帆の個人サイト: http //chenqiufan.cn/category/blog/ インタビュー1: http //www.china30s.com/portfolio/a-%E4%B8%89%E6%98%8E%E6%B2%BB%E6%95%85%E4%BA%8B-story/%E9%99%88%E6%A5%B8%E5%B8%86%EF%BC%9A%E7%A7%91%E5%B9%BB%E6%98%AF%E6%9C%80%E5%A4%A7%E7%9A%84%E7%8E%B0%E5%AE%9E%E4%B8%BB%E4%B9%89 インタビュー2: http //www.chinawriter.com.cn/n1/2020/0324/c404080-31645755.html 郷土文学関連: http //www.lang.osaka-u.ac.jp/~s_aono/zjcidian/index/xiangtu.htm
https://w.atwiki.jp/touhoukashi/pages/2186.html
【登録タグ CD CDま 幽閉サテライトCD】 サークル:幽閉サテライト 「華鳥風月」「シンデレラアバター」「カフカなる群青へ」など 絶版となったCDの楽曲が収録された幽閉サテライトのベストアルバム第一弾! 01 華鳥風月 華鳥風月より 02 彼岸花~紅~ カフカなる群青へより 03 ひねくれ少女 ミゼラブルの雫より 04 シンデレラアバター シンデレラアバターより 05 名残鳥 シンデレラアバターより 06 カフカなる群青へ カフカなる群青へより http //www.nicovideo.jp/watch/sm22732567 http //yuuhei-satellite.sakura.ne.jp/1272
https://w.atwiki.jp/tomotarou0992476/pages/13.html
軽くテスト クランページ http //sf.hangame.co.jp/home.nhn?guildid=チーム小心者 page=1 メンバー(CM、幹部) (フルーツ名)○○レンジャー クランの中の階級 ID 階級 ドリアンレンジャー 総隊長(CM) ぽちりん☆ 大尉5 グレープレンジャー 隊長(副CM) tomo太郎01 少佐3 アップルレンジャー 副隊長 ビニール男 大尉1 バナナレンジャー PP1位 夏の電車 少佐4 メロンレンジャー pp2位 ひかるんば 中尉5 オレンジレンジャー pp3位 ―偵察兵― 中尉4 プラムレンジャー PP4位 9時だ 大尉4 レモンレンジャー pp5位 もうーうし 中尉1 ライムレンジャー 夜間隊長 袁紹さま 少佐2 pp○位のところはcwなどしてPPをためることで変動します。頑張ってください。 メンバー (通常)階級順 ID 階級 ・1 ゲル50% 中佐2 ・2 ざくね? 少佐4 ・3 激備 少佐2 ・4 もしゃ 大尉5 ・5 яёο 大尉4 ・6 狙撃兵ハマー 大尉4 ・7 codename 66 大尉3 ・8 だいしっち 大尉3 ・9 Building429 大尉2 ・10 ryoた 大尉1 ・11 tomo四郎045 大尉1 ・12 サトウさん 大尉1 ・13 テニール 中尉5 ・14 ㈱カ~スガ 中尉4 ・15 一護■ 中尉4 ・16 蘭遊 中尉4 ・17 ka1123zu 中尉3 ・18 冷凍ばなな 中尉2 ・19 茂野サブロー 中尉1 ・20 こいけ..W 少尉4 ・21 ムーテル 少尉4 ・22 存在無 少尉3 ・23ミクシーマン 少尉3 ・24 きつねっち♪ 少尉2 ・25 ▼ゆうと△ 少尉2 ・26 zett 少尉2 ・27 ☆魁皇☆★ 少尉1 ・28 チョ金魚 准尉3 ・29 一里12 准尉2 ・30 小心魂 准尉1 ・31 risk+ju+nkie 准尉1 ・32 微妙人 曹長2 ・33 e7xethpv 軍曹4 ・34 P0WER 軍曹3 ・35 ラビアス 軍曹3 ・36 マサオシム 軍曹2 ・37 閼伽き虎. 軍曹1 ・38 蘭騎 兵長 ・39 ドナ盤2000 上等兵 ・40 デルコンドル 一等兵 1人足りない気がするので、間違ってたら指摘46 ・イベント(予定) クラン設立半年イベント 内容 クラン専用掲示板に書いてあります クリスマスイベント 内容未定 クラン設立1周年記念イベント 内容未定
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/141.html
東北大学SF研究会 短編部会 『老ヴォールの惑星』 小川一水 著者紹介 1975年生まれ。 1993年にデビューしてから1997年までの間、河出智紀と名乗っていた。 代表作としては、2004年に第三十五回星雲賞を受賞した『第六大陸』(早川書房)があり、他にも『復活の地』(早川書房)、『導きの星』(角川春樹事務所)、『群青神殿』『ハイウイング・ストロール』(共に朝日ソノラマ)などの作品がある。 現在『天冥の標』シリーズ(全10巻予定)を9巻part1まで出している。 長編は大体全部面白いのだが、いかんせん長いものが多いので部会で扱いづらいのが悩み。 宇宙作家クラブの会員。 各作品解説 ギャルナフカの迷宮 登場人物 ・テーオ・スレベンス…主人公。元教師。 ・グンド爺…この迷宮を造ったグンデリオ・ギャルナフカ本人。自らの意思で投宮中。 ・タルカ・アトワルカ…テーオの迷宮における最初の隣人。のちの妻。 あらすじ テーオは政治犯として投宮刑に処される。投宮刑とは、食料と水のある場所が描かれた地図を一枚だけ渡されてギャルナフカの迷宮に送られることであった。この迷宮では、人々は地図を奪い合うために疑心暗鬼になっており、また人肉食らいが存在することはそれに拍車をかけていた。そのなかで、テーオは自分が人間であるために社会を作り上げようと考える。人肉喰らいとの闘いや出産、他のコミュニティとの衝突を乗り越え、テーオのコミュニティは囚人全員を管理するまで成熟していった。その過程の中で、壁画や歌、料理などの文化も生まれた。投獄されて10年がたったころ、テーオはグンド爺の遺言を通して迷宮の脱出方法を知る。迷宮を抜けた先、青空の広がる丘の上、テーオたちは街に向かって歩き出すのだった。 考察 人間が社会を失った後、どのようにしてそれを再生していくのかを書いた作品。小川一水らしくハッピーエンドで終わるが、ちょっと無理やり感はある。 ガジェットの部分ではそんなにSFっぽくない。強いて言えば、管理社会っぽい外の世界がそれにあたるだろうか。そこの部分にあんまり触れないのはもったいない気もするが、まあ短編なので仕方がないか。かといって長編にするほどの話かと言われると……。 その代わり、社会がどのように形成されていくかはいろいろ考えられて書かれていたと思う。食料や飲み水の管理から始まり、外敵との戦いや合意形成の過程など。まあ登場人物が理性的でありすぎる気もするが、小川一水作品ではいつものことである。 老ヴォールの惑星 登場人物 ・惑星のヴォール…サラーハ史上最も巨大で賢かった個体。 ・距離のイーゴ…「老ヴォールの惑星」を見つけ出した個体。 ・眠りのテトラント…惑星サラーハの最後の生き残り。 あらすじ ある木星型のガス惑星サラーハでは、毎日のように一種類の生命が自然発生していた。その生命体の一体であるヴォールは、惑星サラーハから遠く離れた場所に同じような環境の惑星があり、そこには自分たちと同じような生命体がいるかもしれないことを発見する。それからしばらくしたある日、惑星に彗星核が衝突し、多くの個体が死んでいった。この事件から近傍天体の観測が必要であることを学んだ生命体たちは、その観測の結果から惑星サラーハに惑星クラスの天体が衝突し、全ての生体体が滅んでしまうことを確認した。自らの死よりもその知識が失われることを恐れる種族であった彼らは、その知識を他の惑星の生命に託そうと考え、コンタクトをとろうと行動を開始する。やがて彗星が衝突する日が来た。衝突直前にテトラントを助けた生命体は、惑星サラーハからの呼びかけを聞いたといい、テトラントに他の木星型惑星への大使になってほしいと告げるのだった。 考察 ファーストコンタクトもの。ただし、ほかの惑星の生命体から見た場合の。この短編集の中では最もSFっぽい短編である。 いわゆるケイ素生命体がメインの登場人物だが、なんだか光通信のできるコンピュータのような印象を持った。個体の死に執着がないという設定が悲壮感を軽減するのに一役買っている。 『異形の惑星 系外惑星形成理論から』(著:井田 茂、日本放送出版協会)が参考図書になっているらしいので、興味がある方はどうぞ。 幸せになる箱庭 登場人物 ・村雨 高美…地球外知性体とのファースト・コンタクトにおける知的学習層の代表。十九歳。 ・エリカ・ストーンバーグ…同上。高美の恋人。 ・クインビー…地球外知的生命体。 あらすじ 人類は月・火星への移住に続き、木星実航マッピング計画を行っている途中で、木星から物理資源を採集している小型機械(ビーズ)を発見した。このままでは木星の質量が減少し、いずれ太陽系の全惑星の軌道がずれてしまうことがわかった人類は、その機械の主に資源採集をやめてくれるように交渉を行うことを決定する。そして、交渉団の七人は、クインビーの母星で自分たちが理想として思い描いていたファースト・コンタクトを実現する。しかし、それはクインビーによって作られた仮想現実の世界だった。クインビーの目的は他の生命体が作り出す不確定な活動を観察すること。そのことを知った高美は、自分とエリカの人生だけは恣意的な操作を入れないようクインビーに告げ、元の仮想世界に戻るのだった。 考察 仮想現実とファーストコンタクトを組み合わせた作品。仮想現実を扱ったはSAOやアクセルワールドのあたりで一番盛り上がって、最近はちょっと落ち着いてきてる感じ。似たような作品だとイーガンの『順列都市』がお勧め。 作中ではクインビーは自分の思い通りにいかない現実より頑張ればその分報われる仮想現実のほうが良いではないかと言っていたが、その一方で不確定要素を含む人類の活動を眺めているのが目的だとも言ったので、まあ可能ではあるがそんな都合のいい世界を作る気はないんだろうなという気はする。しかしまあ、クインビーは良い人(?)っぽいのでよかったものの、仮想現実に取り込んだ人類に延々戦争をさせ続けることもできたわけだし、いつ気が変わるかわかったもんではないので、あんまりハッピーエンドな感じはしない。 漂った男 登場人物 ・サヤト・タテルマ…主人公。少尉。漂流中。 ・ヨビル・タワリ…中尉。イービューク基地救難隊所属。タテルマの良き友人になる。 ・ワティカ…タテルマの妻。 あらすじ タテルマは超高空から惑星イービュークを偵察中に事故で海面に墜落してしまった。幸い怪我はなく、救助を待つだけだ、と思っていたが、なんとイービュークは惑星の表面すべてが海で覆われており、タテルマの現在位置を割り出せないという。海のもつ栄養が人間の生命を保つのに十分であることが分かったことから、タテルマは小型通信機Uフォンによる会話だけでいつ来るか分からない救助が来るまでの時間を過ごすことになる。 考察 個人的にこの短編集で一番好きな作品。SFで遭難と言えば、じゃあいかにサバイバルするかという方向にもっていく場合が大半だと思うが、この作品は何もしなくても死にはしないという設定にしているところがミソ。よくできた設定だと思う。 中身は、死ぬこともないが、別段することもない世界で、あとは自然死するだけ。そんな状況に放り出されたら、人間はどうなるのか。そんなことを書いた話。 小川一水は『フリーランチの時代』の「千歳の坂も」で”長く生きる”ことの意味を問う話を書いているが、それと対照的にこの話では”ただ生存する”ことの意味を問う話を書いているといえる。 そんな感じの話だが最後はちゃんとハッピーエンドにまとめるあたり小川一水だなと思う。 総評 個人的には小川一水の本の中で一、二を争うレベルで好きな作品です。特に漂った男。 小川一水の話は基本的にどれもハッピーエンドで終わります。どんな困難があろうともくじけず、最後まで抗う人間を全力で肯定する精神が小川一水作品の根底にあるような気がします。私もそういうのを望んで小川一水の本を買っているので、これからもその路線で頑張っていただきたいところ。 清水
https://w.atwiki.jp/ssf4/pages/2504.html
注意事項 SF4(AC)キャラリュウ ケン 春麗Y24 エドモンド・本田 ブランカ ザンギエフ板橋ザンギエフ ガイル ダルシムYHC-餅 バイソン バルログ サガットRF ベガ瞬獄ノイローゼ クリムゾン・ヴァイパーキャベツ ルーファスジャスティン・ウォン エル・フォルテ アベル 豪鬼ときど 注意事項 国内、海外を問わず、特定キャラクターをメインとして使っているプレイヤーのまとめ。 記載条件(2つ以上を満たしている必要がある)最低でもMASTER以上を保持している。(ゲーセン、家庭用問わず)AC版AE、家庭用版AEのどちらかで条件を満たしている場合、それについても記載。 個人で闘劇、NSBなどの大規模な大会での優勝、もしくは3位までに入賞している。 大会などで優勝するともらえる、専用特殊称号持ち。 大会参加、応募などでもらえるものは含めない。 プロゲーマー(スポンサーが付いている) プレイヤー重複なし。(複数キャラ使いはメインキャラのみ記載) 編集可能なのは、ID所有者のみ。 SF4(AC)キャラ リュウ ケン 春麗 Y24 GRANDMASTER。 ストⅣからの春麗使いであり、NSBで優勝経験もある猛者。 エドモンド・本田 ブランカ ザンギエフ 板橋ザンギエフ GRANDMASTER、ゲーマータレント。 元はバーチャ界で有名なプレイヤー。世界大会で優勝経験もある強者。 ガイル ダルシム YHC-餅 GRANDMASTER、特別称号持ち。 通称「島根のラスボス」。GODSGARDEN Online #1で準優勝を果たしている。 バイソン バルログ サガット RF ULTIMATEMASTER、特別称号持ち、プロゲーマー。 GG・KOFを始め、その他様々なゲームもプレイしている。 ストⅣでは全国大会で準優勝を果たし、闘劇09ではGGXXACと共に闘劇初の2冠を達成した。 ベガ 瞬獄ノイローゼ 特別称号持ち(真・瞬獄ノイローゼ)「スパIV AE 2011猛者発掘キャラバン」のミニトーナメント優勝で獲得。 ULTIMATE MASTERを保有。 EVO2011にて、海外勢に「ウメハラに4回ほど間違えられた」と語るほど似ている。 クリムゾン・ヴァイパー キャベツ ULTIMATEMASTER、専用称号持ち。 KOF勢であり、ストⅣでは闘劇08で同じくKOF勢の「ごしょ」と共に優勝を果たした。 あだ名は「レバガチャ全一」。 ルーファス ジャスティン・ウォン アメリカ在住のアメリカ人。 プロゲーマー。世界各国の格ゲーイベント・大会に招待or出場しており、大規模大会でよく名前を見るだろう。 「3rd」「MARVEL VS. CAPCOM2」など、様々な格ゲータイトルでの優勝経験を持つ、強豪プレイヤー。 エル・フォルテ アベル 豪鬼 ときど GRANDMASTER、プロゲーマー。東大卒業というキャリアを持つ。 ときど式の開発者。徹底的に効率を重視したプレイスタイルから「寒さ全一」「アイスエイジ」といったあだ名もある。 闘劇の戦績をストⅣ時代で書きましたけど 大丈夫ですかね? -- (名無しさん) 2011-07-21 14 40 08 大丈夫だ、問題ない まあ、戦績はいくらあっても困らないですしね -- (管理人) 2011-07-21 14 47 48 ULTRAMASTERって ULTIMATEMASTERの間違いじゃないですかね? -- (名無しさん) 2011-07-22 02 30 03 ダルシムのとこって誰ですか?名前が分かりません…。 -- (名無しではない名無し) 2011-07-22 19 03 46 家庭用をやっているならPS3かXBOX360のどちらでオンライン戦やっているかも 書いていただけるとありがたいです。 リプレイの研究になるので。 -- (名無しさん) 2011-07-24 00 58 28 ベガ・瞬獄ノイローゼ:特別称号持ち(真・瞬獄ノイローゼ):ウルマス -- (名有り) 2011-07-30 09 24 16 猫舌さんなんかは有名だし、いいのでは?バイソンのーRーさんとか。具体的ではないのですが、個人の動画集もありますし。 -- (プレイヤー) 2012-10-14 21 08 59 -6さんを豪鬼使いに入れても良いと思うんですが どうでしょうか? -- (神姫飛翔) 2013-03-15 16 56 39 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/210.html
永遠の森 博物館惑星 著者:菅浩江 京都府京都市生まれ。菅原道真の血を引いている。 夫はガイナックス統括本部長の武田康廣。 着物大好き。 主な著作 『ゆらぎの森のシエラ』 朝日ソノラマ文庫(1989) 『<柊の僧兵>記』 朝日ソノラマ文庫(1989)、徳間デュアル文庫(2000) 『歌の降る惑星 センチメンタル・センシティヴ・シリーズ』 角川スニーカー文庫(1990) 『うたかたの楽園 センチメンタル・センシティヴ・シリーズ』 角川スニーカー文庫(1991) 『鷺娘 -京の闇舞-』 朝日ソノラマ文庫(1991) 『メルサスの少年 「螺旋の町」の物語』 新潮文庫ファンタジーノベル(1991)、徳間デュアル文庫(2001) 1992年 第23回星雲賞日本長編部門受賞作 『オルディコスの三使徒1 妖魔の爪』 角川スニーカー文庫(1992) 『雨の檻』 ハヤカワ文庫JA(1993) 1993年 第24回星雲賞日本短編部門受賞作『そばかすのフィギュア』を収録 『暁のビザンティラ(上・下)』 ログアウト冒険文庫(1993) 『氷結の魂(上・下)』 トクマノベルズ(1994) 『オルディコスの三使徒2 紅蓮の絆』 角川スニーカー文庫(1994) 『オルディコスの三使徒3 巨神の春』 角川スニーカー文庫(1995) 『不屈の女神 ゲッツェンディーナー』 角川スニーカー文庫(1995) 『鬼女の都 The Spirit of Kyoto』 祥伝社(1996)、ノン・ノベル(2001) 『末枯れの花守り』 角川スニーカーブックス(1997)、角川文庫(2002) 『永遠の森 博物館惑星』 早川書房(2000)、ハヤカワ文庫JA(2004) 『夜陰譚』 光文社(2001) 『アイ・アム I am. 』 祥伝社400円文庫(2001) 『五人姉妹』 早川書房(2002)、ハヤカワ文庫JA(2005) 『歌の翼に ピアノ教室は謎だらけ』 祥伝社ノン・ノベル(2003) 『ブレシャス・ライアー』 光文社カッパノベルス(2003) 『おまかせハウスの人々』 講談社(2005) (http //www.gainax.co.jp/hills/suga/index.htmlを参照) 用語解説 愛と美の女神<アフロディーテ> 地球と月の重力均衡点のひとつラグランジュ3にぽっかりと浮かんだ、既知の宇宙でもっとも大きな博物館。重力はマイクロ・ブラックホール方式で制御されているらしい。 美の男神<アポロン> 総合管轄部署。芸術を、分野を超越した高い分野から分析検討するための部門。 記憶の女神<ムネーモシュネー> 直接接続対応データベース・コンピュータ。<カリテス>システムを束ねる。<アポロン>の人間は彼女と直結しており、好きなことを好きなように検索できる。 三美神たち<カリテス> 優秀なデータベース。輝き<アグライア>、喜び<エウプロシュネー>、開花<タレイア>の三人。 詩と音楽の女神<ミューズ> 音楽や舞台、文芸全般を担当する部門。<アグライア>によって支援されている。 知恵と技術の女神<アテナ> 絵画や工芸を担当する部門。<エウプロシュネー>が支援する。 農業の女神<デメテル> 動植物園を扱う部門。<タレイア>によって支援される。 以上はすべてギリシャ神話から。 主要な登場人物 田代孝弘 <アポロン>所属のエリート学芸員。または体のいい調停役。主人公。 エイブラハム・コリンズ 田代の上役。所長。 ネネ・サンダース 男物の黒いオール・イン・ワンを着ている中年の黒人女性。<アテナ>に所属するベテラン学芸員。 カール・オッフェンバッハ 分析室室長。二メートルを超える長身。 マシュー・キンバリー 最新型のインターフェイスを持った新人。行動が子供じみているが、著者曰く、純粋、らしい。 田代美和子 孝弘の妻。 Ⅰ 天上の調べ聞きうる者 脳に腫瘍ができて入院した売れない音楽家が書いた一枚の絵。ただの落書きにしか見えないこの絵を、ある著名な美術評論家と脳神経科の患者たちは『究極美』だとして絶賛した。果たして、この絵は本当に究極の美なのか、それとも脳の障害が見せた幻覚に過ぎないのだろうか。 シリーズを一貫したテーマである「芸術とは、在るがままに感じとるべきなのか、それとも様々な理論を持って示されるべきものなのか」という問題を提起する話。 Ⅱ この子はだぁれ 人形を愛する夫婦が手に入れた一体の人形。その表情が気になった夫婦は人形の名前を知りたいと考え、<アフロディーテ>を訪れる。いくつかの矛盾を内包するこの人形に込められた想いとはいったい何なのか、その答えを追い求めることで人形の名前が明らかになっていく。 <ムネーモシュネー>の実力を示すための話。<ムネーモシュネー>は決して万能などではなく人間を補助するものでしかないが、同時にその処理能力のおかげでかなりの補助ができますよ、という内容。 Ⅲ 夏衣の雪 笛方・十五代目鳳舎霓生は自らの家元襲名披露の場において『夏に雪を降らせる』という奇跡を行う。 だが、この奇跡に必要と言われている一枚の着物が見当たらない。十五代目鳳舎霓生の兄が怪しいと考えた田代は、彼が着物をどこに隠したのかを見つけ出そうとする。 SFよりもミステリーの要素が大きい話。というより、SFらしい描写がほとんどなく、田代には探偵のような役割が振られている。 Ⅳ 享ける形の手 14歳で世界的舞踊家としての頂点を極めたシーター・サダウィは30歳になっていた。周りとの軋轢と加齢により既に落ち目として認識されていた彼女は、初めて自らの踊りの演出をすべて自分で決定する機会を手に入れる。<アフロディーテ>の全面的なバックアップを受けるこの公演で彼女は自らの踊りとどのような決着をつけるのか。 なんというか、SFの要素などどこにもないような気がする…。強いて言えば、科学技術による人の想いの歪曲、とかだろうか。よくわからん。 Ⅴ 抱擁 既に引退した元学芸員。彼が<アフロディーテ>に戻ってきた理由は、かつて得ることができた学芸員の至福をもう一度味わうためだった。最新型を扱う新人に蔑まれながらも、同時に過ぎ去った幻を追う先輩を哀れんでしまうネネ。彼女は先輩である元学芸員に危険なまねはしないように懇願するが、それでも彼の覚悟を止めることはできなかった。 人の世代交代よりも遥かに早い技術革新。わずかな年月で時代遅れといわれてしまう人々の苦悩を描いた話、かな。ま、アップデート位できるようにしておいて欲しいものだ。 Ⅵ 永遠の森 遺伝子を組みかえられた植物の移り変わりを持って時間を計るバイオ・クロック。その傑作である『エターニティ』は、とある人形『期待』の盗作として訴えられていた。かつて恋人同士だったそれぞれの作者が死んだ後、二つの作品は比較検討されることになる。その人形作家から様々な盗作を行ったと訴えられている『エターニティ』の作者。彼がバイオ・クロックに込めた想いは本当に人形作家に対する嘲笑だったのだろうか。 表題作。マシューが大人の階段を上り始める話でもある。技術の発展によって未来に託せる様になった想い、とかを描きたかったのではないかと。 Ⅶ 嘘つきな人魚 <アフロディーテ>の海の底にあった人魚の象。かつてそれを見た少年は、人魚に謝りたいのだ、と田代に告げる。少年の謝罪はいったい何に対しているのだろうか。 事故などによって強制された機械仕掛けの体。そうなったとき果たしてどこまでが人間と言えるのか。機械を介して行われる行動は人間の行動と言えるのか、といった話。ちなみに、美和子が予告家出した話でもある。 Ⅷ きらきら星 小惑星イダルゴから異星人が置いたと思われる植物の種子と五角形の彩色片数百が見つかった。種子の解明は順調に進んだが、色彩片数百の組み立て方が分からない。そんななか、ある図形学者は図形の中の隙間を楽しむ、という発想を得る。その結果として人類が得たメッセージとは黄金率そのものであった。 異星人の出てこないファースト・コンタクトもの。隙間を楽しむと言う発想は個人的には結構好み。完璧なだけでは何事もつまらないものなのだ。 Ⅸ ラヴ・ソング 皇帝と呼ばれる老ピアニスト。幾つもの無理難題を言い続けた我が侭な彼女の本当の狙いは…。と言う話なんだが、まとめづらいな、この章は。 一話目から出てきていた『九十七鍵の黒天使』と呼ばれるピアノと田代の妻の美和子が初登場するなど、様々な伏線が回収される。その上で、愛は理屈を超越するというロマンチックなテーマによってシリーズで締めくくる。ただ、綺麗な話だとは思うのだが、マシューとユリウスが田代に喧嘩を売っているとしか思えない言動を取りまくってくれるので、その余波で美和子にたいする印象も下がること下がること。なにかしら意図があってやったのかもしれないが、なんだかなぁ。 総評 『ベストSF2000 国内篇一位』や『第32回 星雲賞』を受賞していながらどちらかといえばSF色の薄い作品…、というか設定だけ。また、『第54回日本推理作家協会賞』を受賞もしているが別にミステリーでもない。実は『美』というものの扱いを全面に押し出したラヴ・ストーリー。個人的には好みで、一冊の本としてのできは素晴らしいと思うが、一方で本当のSF好きには物足りないだろう。 せっかく用意した様々なSFのギミックを巧く話しに絡めることなく、設定としてだけ使っているのは勿体無い。ミステリーとしての技法を用いるのならば、SFの要素をもっと慎重に扱ってSFミステリーにすればもっと面白くなったのに、という意見があった。 まぁ、SFの初心者辺りに進めるには良い作品だと思う。 追記 上記の『五人姉妹』という作品に、この本には未収録の話『お代は見てのお帰り』が入っている。 2019.02.24 Yahoo!ジオシティーズより移行 http //www.geocities.jp/tohoku_sf/dokushokai/aphrodite.html なお、内容は執筆当時を反映し古い情報・元執筆者の偏見に基づいていることがあります by ちゃあしう
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/133.html
東北大学SF研 読書部会 『マグロマル』 筒井康隆 著者紹介 つい最近ツイッターでまた問題発言をし、絶賛炎上中の日本SF御三家の一人。 代表作は『時をかける少女』、『家族八景』、『日本以外全部沈没』など。 1934年大阪市の生まれ。一説には台風の大水でたらいに乗って流されてきたとも。1952年2月に関西芸術アカデミーに研究生として入学。同年4月、同志社大学文学部心理学科に入学、同志社小劇場に所属した。大学での学業の傍ら俳優活動に精を出し、学生演劇界では有名人であったという。在学中美学美術史学科に転じ、卒業後は展示装飾を手掛ける会社を経て独立、デザインスタジオ「ヌル・スタジオ」を設立。1959年12月に創刊された『SFマガジン』を読み衝撃を受け、1960年6月にボーナスをつぎ込み、父と弟3人の計5人でSF同人誌『NULL』を創刊。一家で同人誌を出している物珍しさが評判となり、たびたびメディアに取り上げられていた。この創刊号が運よく江戸川乱歩の目に留まり、乱歩主宰の雑誌『宝石』に転載される形で雑誌デビューを果たした。 作風は多岐にわたり、初期はナンセンス、ブラックユーモア、スラップスティック、パロディ、風刺などが多いが、次第に実験小説・純文学に挑戦するようになる。基本的に読む人を選ぶものが多いが、ハマると抜け出せなくなる。この人のすごいところは、『時かけ』のような爽やかジュブナイルから、ドギツいエログロナンセンスまで何でもこなすところだと思う。 登場人物と主な種族 サド・クロー(定九郎) 主人公。地球人(旧日本民族)のラビドレ語通訳。 セミパラチンスキイ サドの同僚のラビドレ語通訳。 アボン・アボン族 牛頭人身で大柄な種族。何を言われても差別されたと受け取り、泣きわめく。 カリ・カピ族 エビ似の水上生活種族。いつもボートに乗っている。目が後ろ向きについていて、大きなハサミをオール代わりにして漕ぐ。 アチャール族 全身をサイボーグ化している。かつてアボン・アボン族の居住地を植民地としていた。 ガドガド族 口が丸い以外は人間と似ているが、20分ごとに食事をしないと死ぬ。オレ、メシクテクル シェー族 自身の功績を自慢することが何よりの美徳。サユルケオンを排泄するコッピー族を使役し、暴利を得ているとされる。 作中用語紹介 ラビドレ語 星間協定に関する政治的専用語。難しい。 トペン アヤム・リチャリチャをゴレンすること。 イカンテリ 各重力歩道を仕切る隔壁のこと。重力歩道は種族ごとに重力や空気の組成が調整されており、各イカンテリ間はスピーカーによって互いに通話可能である。 所感 この作品にはSF作品にありがちな用語(カタカナ言葉)が執拗なまでに多用されており、興味を惹く・用語を強く意識させる構造となっているが、作中ではその用語が何を指すのかほとんど明かされることがない上、最終的に展開された物語がすべて無意味なものであったというラストで締めくくられる。全く互いに無理解な異星人たちの会議を通して、地球における国連や国際協調の運動が、ほとんどの場合互いの無理解や、文化の違いを盾にした作為的な誤解などで進展していない現状(発表当時も今も)を皮肉っている。ほとんどの読者は作中の膨大な(無意味な)単語を覚えようとして必死に読むことであろうが、その努力は全て無駄で、初めから筒井の手の上で踊らされていたのである。してやられた、という感じがする。 ちなみに、この小説に出てきた用語の多くは、東南アジアの料理に元ネタがあるらしい。 下村
https://w.atwiki.jp/qusf/pages/106.html
SF研の紅一点。想像力豊かなお方。 正直なぜSF研にいるのかわからないほどしっかりした子。 たまに爆弾発言をするが、それがいい。